続き。
下の「【???】人になりに行った日。1」を読んでから見てくださいね。

ここまで長くなると、もはやSSじゃないですよね…すみません(苦笑)
「まさか…まさか……」

「一代サン、お疲れサマ♪」

最後の弾丸で、ババ様は崩れた。
それと同時に倒れ込むおし。
疲れていたのだろうか。よく見ると、眠っている。

「あらあら…忍チャンはホントに眠り姫ねぇ♪」

そう言うと、桜はおしに近づく。

「実の母親に殺されそうになったり、こんな終わり方をするなんて、可哀想な忍チャン。
さぁ…さようならを言いなさい。死人の御伽噺に、交ぜてあげるから。」


シロちゃんの日本刀を手に取り、嘲笑した。





○終章
おしは、夢を見ていました。
心に巣食う、水鬼の夢です。

夢の中で水の鬼は、おしの前で佇んでいました。
鬼は言います。

?忍びを辞めてしまったんだね。?

…そうなのでしょうか。そんな心地は、しませんね…。

?いや…もうキミは忍びではないよ。…よく頑張ったね。?

…ありがとうございます。褒められると、何だか嬉しいです…♪

?もう、私は必要ないね。今までありがとう。?

…え?…何でですか…?
い…今までずっと一緒だったじゃないですか。
何で…なんで…!
ちょ、ちょっと待ってください…!…待って…!!




気付いたらそこは、おしの家のベッドの上。

「忍ちゃん、気が付いた?」

ふと見ると、桜がいます。

「だいぶ、うなされていたみたいだけども。」

「…はい…ちょっと。」

「それにしても、随分寝ていたわねぇ。
今、何日だか分かるかしら」


「え?…あ!」

電波時計が示すのは15日の午後8時11分。
実に4日間寝ていたことになります。

「マァ、そのお陰で傷は大体治っているみたいだけどもね?」

…体には包帯が巻かれていました。

「あ…すみません。ありがとうございます。」

「言っておくけど、手当てをしたのはあたしじゃねぇわよ?
陸チャンが来てくれて、着替えも手当ても全部やってくれたの。
あたしがやったら、そこら辺の子達にしばかれちゃうわぁ?(笑)」


「…はぁ、そういうものですか。」

…おしは、少し沈黙し、こう問いました。

「桜さんは、なぜあそこに居たのですか?」

里の場所は関係者しか知らないはずでした。

「昔、あの里に住んでいたのよ。
でも…風桜家の人にね、殺されたの。家族も…婚約者も。」


「…え?」

「最初はね、忍チャンを利用して、里を全滅させようと思って近づいたの。
忍チャンも殺そうと思ったわ。
でもね…一緒にいるうちに、気が変わっちゃったのよね。だって忍チャン、良いコなんだもの(笑)」


「…あの、それは…」

「あ、ごめんなさいはナシよ?
忍チャンは何も悪くない。
…寧ろ、ありがとう。復讐を止めてくれて。」


「…いえ、そんな…」

「忍チャン。」

「は、はい。」

「…大好きよ。」

桜は笑顔で、そう言った。
おしは笑顔で、こう答えた。

「ありがとうございます。おしも、大好きです…♪」

「…うん、そう言うと思ってたわ。」

おしを優しく撫で、立ち上がります。

「さて、もう行かなきゃ。
長居してるとまた陸チャンに跳び蹴りされちゃうわ?(笑)」


ウソかホントか分からない調子でそう言うと、部屋を後にしました。

後にはおしと、ボロボロのリトルさんと、同じくボロボロの黒星さん。

…よく見ると、リトルさんの中に、紙が入っているのが見えました。
おしはそれを広げます。
『風桜・忍様
 貴方がこの手紙を読んでいる時、私は既にこの世にはいないでしょう。
 こんな形でしか言葉を残せない私を、許してください。
 私は今、病に侵されています。
 表面上には変化が無いのですが、何かが私を狂わせているのを感じます。
 この里の大人達は、皆その狂気に侵され始めています。
 どうか…里の外に出て、この里の異変に気付いて下さい。
 この里のまだ若い皆を、護って下さい。
 私からこんな話をするのはとても辛いですが、頼めるのは貴方しかおりません。
 貴方は人であり、人の心を持つ子だから。貴方に託します。』

そして最後に、こう添えられていました。

『貴方の事を愛しています。どうか、生きて普通の人の道を歩んで…。
                      貴方の母より。』

「お母さん……。……あぁ…おかあさん……」

文字がかすんで見えます。
目を瞑ると、頬を暖かいものが伝いました。
あぁ…この感覚、何年ぶりでしょう。
おしは忍びであったため、泣く事をしませんでした。
小さい頃から泣きたくても、我慢をし続けて…いつしか本当に涙が枯れてしまっていました。
本当に…長かった…。
やっと…やっと…欲しかった答えが、返って来た。
叶わないはずの願いが、叶った。

「う…うわぁぁん!!」

おしは一晩、泣き明かしました。
おしは人になれました。
泣いているのが、その証拠。
今日から、おしの新たな1日が始まります。




この物語の足りない部分は、また他の場所で。